お金をかけずに災害に備える方法を考える ラジオ編
災害時に情報を集める手段として思いつくものはなんだろう 。
昔から災害時の情報源はラジオが最適だと言われる。
確かに、安価に購入でき電池で長時間使用できるラジオは、お金をかけない災害対策にはピッタリだ。
だが現代には最強の情報ツール、スマートフォンが存在する。
果たして、ラジオの備えは必要なのか。
災害時におけるラジオの有効性と、僕の対策について記していく。
目次
スマホは災害時に頼れるのか
結論から言うが、スマホは災害に強いとは言えない。
先の北海道地震の際、長引く大規模な停電により基地局の電力供給が断たれ、モバイル通信が不可能になったことは記憶に新しい。
また災害発生時にはモバイル通信のトラフィックが増大し、通信速度の大幅な低下や障害が起きるため、通常時のような使い方ができないケースがあることは東日本大震災以降の大規模災害でも実証されている。
スマートフォンは、平時の安定した通信環境に支えられ運用されているのだ。
多くの設備を利用していることから、通常時でも設備のトラブルなどで通信障害が起きることがある。
ましてや災害時には、複数のトラブルを抱えることになり、全く役に立たなくなることも想定しなくてはならない。
ラジオが災害に強い理由
では古くからの災害時の情報源の定番、ラジオはどうだろうか。
ラジオの場合、ラジオ局が発する電波と受信するラジオさえあれば利用可能である。
複数のラジオ局のうち、どれかが生きていれば情報を得ることができる。
これは心強い。
大規模災害時にはどの局も災害情報を流すので、AMだろうがFMだろうが、どこかの局が受信できれば良いわけだ。
受信側の僕たちはラジオだけ用意できればいいのだが、ラジオ局は放送設備が使える状態でなければならない。
不安な方もおられるかと思う。
だがその点も、かなり信頼できる。
ラジオ局は災害時の情報発信の責任を果たすため、停電時にもUPS(無停電電源装置)や発電機(ガソリン式など)によって、その機能を維持できるよう備えている。
テレビのような大規模な放送システムではなく、音声だけの放送という簡素さが利点となり、放送に要する電力は非常事態勢でもまかなえるのが強みだ。
放送設備は、放送局と送信アンテナが無事であれば問題ない。
アンテナは台風や地震にも耐えられるように設計・設置されているらしいので、これが全局分損壊する場合は、ラジオの心配より日本沈没の心配でもしたほうがいいだろう。
受信機であるラジオも電池で長時間使用することができるので、停電時には使い物にならないテレビと違い安心だ。
なおスマホアプリのradikoやらじる★らじるなどを利用している方は、災害時スマートフォンの通信ができない状況では使用することができないので注意してほしい。
これらのアプリはデータ通信によって放送を取得しており、ラジオの電波を受信しているわけではない。
一部スマートフォンでFM放送が受信可能なものもあるが、あくまで例外であるため、災害時のラジオは専用のものを備えたほうが良いだろう。
僕の防災ラジオ ELPAのポケットラジオとHoolooラジオライト
僕が所有するラジオを紹介しよう。
radikoなどのアプリかカーラジオでの利用がほとんどなので平時に使うことは少ないが、いつも目のつくところに置いてある。
まずメインの一つ目はこれ。
ELPAの単三電池式AM/FMラジオ。
今でも同じような製品が1,000円くらい買えるが、僕が買ったときもそのくらいだったと記憶している。
妻が台所仕事のときに使いたいということで5年か6年前くらいに購入したのだが、その後のスマホの機能向上や住み替えなどによって不要になったものだ。
このラジオは受信感度が良く、音量もかなり上がるので値段の割に優秀だと思う。
簡素なデザインも好きだし、ストラップがつけられるのでどこにでも引っ掛けられる手軽さも良い。
フルレンジスピーカーの暖かな音が好きな人は、普段使いをしてもいいと思う。
僕はこれを充電式の電池で使用していて特に問題は生じていないが、充電池の使用は自己責任でお願いしたい。
正直このELPAのラジオだけで備えは十分だが、停電時の電池切れを考えて、もう一つ非常時専用ラジオを備えている。
それがこの中国製のラジオだ。
Hoolooラジオライトという商品名らしい。
商品説明ページは普通に(あやしい)日本語だったが、パッケージは中国語と英語だ。
マニュアルはペラ紙一枚で、片面が英語で裏面は中国語。
日本語は一切なし。
典型的な中華製品といえるだろう。
Amazonで1,500円ほどで購入したのだが、FMラジオはもちろんのこと、USB充電式内蔵バッテリー・手回し充電機能・懐中電灯を備え、さらにUSB給電機能もあり、非常用モバイルバッテリーの役割も果たす。
Hooloo ラジオライト FM懐中電灯 USB手回し充電防災グッズ 地震台風 停電緊急対策 スマホ充電対応可能
などと書き出すと素晴らしい防災ラジオのように思えるが、そんな素晴らしいものが1,500円で買えるはずもない。
いくつかの欠点があることには注意してほしい。
まず、ラジオはFMしか受信できない。
この製品はワイドFMには対応しているらしいが、ワイドFMで全てのAM局が聴けるわけではない。
確認したところAMの放送局が受信できたので、ワイドFM対応なのは偽りではないようだ。
音質はおもちゃのスピーカーといったところで、FMなのにノイズが多く、AMを聴いている気分になる。
いちおう聴くことはできるが、先に紹介したELPAのラジオの音質とは比べものにならない低品質で、音楽を聴くには無理がある。
少なくとも僕にとっては、普段使いのラジオとして使う気にはならない音質だ。
だが、非常時にニュースを聞く分には問題ないだろう。
それからUSB給電機能だが、このラジオの内蔵バッテリーが1000mAであるため、満充電であってもスマホの充電には不十分だと思われる。
最近のスマホは少なくても2000mAのバッテリーを搭載しており、1000mAでは半分の充電もできないだろう。
やはりスマホ用にはきちんとしたモバイルバッテリーを備えるべきだ。
だがこのラジオは、USB充電が可能なのは良いところである。
手回し充電機能もついてはいるが、手回しで充電しなくともモバイルバッテリーから充電できるのならば楽だ。
ラジオの消費電力ならば、1000mAもあれば数日使えるだろう。
残念なのは充電用の本体の端子が3.5mmのジャックであることだ。
付属の充電用ケーブルを無くさないように気をつけたい。
懐中電灯機能は普通に使えるので、特に書くことは無い。
普段使いするなら、懐中電灯として使うのが良いと思う。
今どき懐中電灯が頻繁に必要となる人は少ないだろうが。
もしこのラジオを購入したいというもの好きな方がおられるなら、伝えておきたいことがある。
このラジオ、受信感度が悪い。
しかもオートチューニングのため、壊れているのか電波状態が悪いのかが分かりにくい。
ベランダの手すりにこのように置いて、やっと2・3局受信できた。
これでは災害時に外に出てラジオを聴かなければならない。
冬に災害がおきたなら、屋外でしか使えないラジオなど役には立たない。
この買い物は失敗だったかと落胆しかけたのだが。
よく考えると、このラジオはFM専用なのにアンテナが無いことに気がついた。
そこで充電用ジャックに充電ケーブルをつないでみると…
感度が格段に良くなり、室内でも5局くらい受信することができた。
十分な感度だ。
いや、焦った。ガラクタを購入したかと思った。
なお給電用のUSB端子にケーブルを接続した場合も同様にアンテナとしての効果を得られた。
この手のアンテナの無い中華ラジオを購入された方は、一度この方法を試してみてほしい。
ケーブルをつなげた姿は不格好なので、やはり普段使いには向かないラジオなのは間違いない。
もし予算があるのなら、あやしい中華ラジオではなく、ソニーの防災ラジオを買えばよい。
ソニー SONY ポータブルラジオ ICF-B99 : FM/AM/ワイドFM対応 手回し充電/太陽光充電対応 シルバー ICF-B99 S
手回し充電、ソーラー充電、乾電池によるUSB給電、これこそが完ぺきな防災ラジオであろう。
ここまでの機能を生かすような災害は、起きてほしくないが。
この製品、大変な人気で現在メーカー欠品中だそうだ。
現在価格が高騰しているが、元の値段は10,000円ほどである。
不当な高値で購入しないよう、よく確認してもらいたい。
たしかに素晴らしい製品ではあるが、苦しい暮らしの僕たちには、非常時の備えに出せる金額には限りがある。
欠点はあるが、Hoolooラジオライトも緊急時の備えとしては悪くない選択だと思う。
安価でも頼れるのが、ラジオなのだから。
まとめ
災害時にラジオが頼りになることは分かってもらえただろうか。
僕が最も大切に思うのは、災害時にマスメディアが発信する情報の信頼性の高さである。
もちろんマスメディアだって誤報もあるし、隠蔽もするだろう。
だがSNSなどで拡散される真偽不明の情報とでは比較にならないことは、説明するまでもない。
過去の災害でもそうだったように、確実な情報を得ることは命を助ける。
災害時にスマホが役に立たないとは思わないが、例えば使える電力が限られている状況ではラジオで基本的な情報を収集してからスマホを使うのが効果的だろう。
紹介したELPAのポケットラジオのような電池式のラジオなら、1,500円も出せばまともなものが購入できるので、まずはこのタイプのラジオを一家にひとつは備えておこう。