暮らしっ苦ブログ

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災害時の口内衛生を考える 歯磨きって必要か?

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歯磨きが大事なのは今更僕が語るまでもなく皆さんご存知だろうが、被災時に歯磨きが重要なことは案外知られていないのではないだろうか。

 

これを知っているか否かは、被災時の健康維持に関わるし、実は自分自身だけでなく、周囲の人たちのためにもなる情報なのだ。

 

通常歯磨きの目的とは、歯垢を除去し口内を衛生的に保つことである。

それによって虫歯や歯周病を防ぐのだが、口内を清潔に保つことは感染症や肺炎の予防にも効果的であることが知られている。

 

災害時においてもこの目的は基本的には変わらないが、歯磨きで風邪やインフルエンザの蔓延を防ぐことは、通常時以上の重大な意味を持つ。

 

以下、災害時の歯磨きの有効性について記していく。

 

 

 

なぜ歯磨きで感染症・肺炎対策ができるのか

 

それには次のような理由がある。

 

・唾液の分泌を促し、口内の乾燥を防ぐ

・歯垢の除去により、口内細菌が酵素を分泌することを防ぐ

・口内細菌を増殖させないことで、誤嚥時の肺炎リスクが低下

 

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口内の乾燥により感染症にかかりやすくなることは、よく知られている。

 

冬場に風邪やインフルエンザが流行するのは、空気中の湿度が低いためにウイルスが飛びやすいのと、口内の乾燥で粘膜が無くなることが原因である。

 

避難生活によるストレスのかかる状況下においては、まして口内は乾燥しやすい。

歯磨きによって口内を刺激し、新鮮な唾液の分泌を促すことで、口内を潤すことができる。

 

単純に水分を摂取することももちろん対策にはなるし、マスクを着用して乾燥を防ぐ方法もあるが、歯磨きを行うことで新鮮な唾液の分泌を促し、より高い効果を期待することができるのだから、やらない手はない。

 

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歯垢の除去は、歯磨きの最も重要な目的である。

 

歯垢とはつまり歯に付着した細菌の塊だ。

そんなものを放置しておいてはろくなことにはならないというのはイメージでもわかると思うが、災害時には虫歯や歯周病を気にして歯磨きを推奨するわけではない。(もちろん中長期的にはこれらの予防も大切だが)

 

口内細菌はプロテアーゼやノイラミニダーゼという酵素を分泌するのだが、これらはインフルエンザなどのウイルスを粘膜に侵入させやすくなる作用がある。

歯垢を小まめに除去することで、感染症が流行していたとしても粘膜への侵入を防ぎ、自分自身が感染するリスクを低下させることができるのである。

 

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口内細菌が増殖すると、唾液も不衛生なものになる。

これを誤って肺に飲み込んでしまったとしたら(誤嚥)、抵抗力の弱い高齢者や子供は肺炎になる危険性を考えなければならない。

 

歯垢を除去することはすなわち口内細菌を除去することなので、肺炎を防ぐためにも被災時には必ず歯磨きをするべきだろう。
 

 

災害時の歯磨き方法

 

災害時にも歯磨きが必要なことは分かってもらえたと思うが、では災害時にはどのような方法で歯磨きをすればよいのか。

 

・飲料水が十分に確保できていないのに、歯磨きに使う水を使うのはもったいない

・そもそも歯ブラシが無い

 

上記のような問題は、あらかじめ想定しておくべきだろう。

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まず歯ブラシがある場合だが、少量の水で歯ブラシを濡らし、歯磨き粉はつけずに丁寧にブラッシングする。

実はこれだけで十分な歯磨き効果が得られる。

 

もし水に余裕があるなら、仕上げにうがいをするとなお良い。

うがいには、水でなくリステリンやモンダミン等の洗口液を使用しても問題ない。

 

歯磨き粉は、すすぎうがいができるだけの水の余裕があれば使って良いのだが、すすぎ残しがあると口内の乾燥原因になってしまうため、感染症対策には逆効果になってしまうため注意したい。

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もし歯ブラシが無い場合には、タオルやガーゼなどの布類もしくはティッシュペーパーなどの紙類を使用する方法がある。(ただし水に溶けやすいトイレットペーパーは使わない方が良いだろう)

要するに歯を拭き取ることができれば良い。

 

最悪の場合指を使ってこするという方法もあるようだが、僕はあまり推奨しない。

被災時に手指が清潔に保てているかは怪しいし、指で歯をブラッシングすることで手が不衛生になってしまうからだ。

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例えば割りばしやつまようじなどを使ってこする方法もあるし、布ならタオルやガーゼでなくとも何らかの代用品がある可能性は高いので、道具を使って歯を拭くorこすることができれば良いのだと考えておけば、いざという時にうまく対処できるのではないだろうか。

 

 

液体歯磨き・洗口液は使うべきか

 

そもそもこの二つの違いについて、多くの人は認識が曖昧ではないかと思う。

 

液体歯磨きとは、チューブの歯磨き粉の液体版だと思ってもらえば差し支えない。

商品名でいえば、GUM・システマ・クリニカなどがそれに当たる。 


システマ ハグキプラス デンタルリンス 900ml 液体歯磨 (医薬部外品)

 


クリニカ クイックウォッシュ 450ml (医薬部外品)

 

ブラッシングの前に口に含んでクチュクチュうがいをすると、歯垢を落としやすい状態になる。

 

その後は通常のブラッシングするのだが、仕上げのうがいは特に必要ない。

液体であるため、通常の歯磨き粉と違いすすぎ残しによる口内乾燥の心配もないため、もし普段から液体歯磨きを使っているのであれば、災害時も普段通り使うことができる。

災害時には適した歯磨き方法といえるだろう。

 

 

洗口液とはリステリン・モンダミンなどを代表とする、歯磨きの仕上げ用の液である。



[医薬部外品] 薬用 LISTERINE(リステリン) マウスウォッシュ トータルケア 1000mL +

 

 

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アース製薬 マウスウォッシュ モンダミン センシティブ 1080mL

 

ブラッシングの後に使用するもので、歯周病予防・口内殺菌を目的としている。

 

これでうがいをすると口内がすっきりするのだが、単体では歯垢の除去には大きな効果が無いので、ブラッシングは必ず行うようにしたい。

 

非常時に使用することによるデメリットはないので、水ブラッシングの後のすすぎに使用すると口内がさっぱりするし、あれば使うくらいの認識で良いだろう。

 

歯ブラシにつける少量の水の代わりにしてもいいが、そこまで水が不足した状況だと生死の心配が先に立つだろうから、節水の効果はほぼないと思う。

 

なお水100mlに対して2gの重曹を溶かすと、弱アルカリ性の洗口液の代用品を作ることができるという情報があったので、試してみた。

味はよくないが、と書いてあるのが気になったが…


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重曹を溶かしたので細かい気泡が見えるが、見た目はいたって普通の水。

口に含んでみると…?

 

重曹の苦みというか、独特の味が舌に感じられるが、思ったよりマズくはなかった。

 強いて言うなら、リステリンなどの洗口液から清涼感を引いたような味わいである。

 

洗口液自体、非常時に無理に作るほどのものではないだろうが、重曹はどこでも手に入るものだし、口内がさっぱりすることでリフレッシュになるため、知識として覚えておくのも良いだろう。

 

 

まとめ

災害時の歯磨きは、自分自身の健康を守り、感染症を予防することで周囲の助けにもなる。

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ただでさえつらい被災時に、健康を損ねるのは最悪だ。

そうならないよう、一人ひとりが、可能な対策はとっていくべきである。

 

 

この記事は日本口腔ケア学会のHPの情報を参考に作成した。

詳しい内容のpdfがダウンロードできるので、ぜひこの知識を共有してほしいと思う。

 

災害時の口腔ケア - 一般社団法人 日本口腔ケア学会