愛知県一宮市での物件探し メゾンアンドゥ編
愛知県一宮市を第一候補に、移住することを決めた僕。
その経緯は前回を読んでいただきたい。
物件探しはネットで行っていたが、実際に一宮に訪れたのは有給消化期間に入った7月半ばのことだった。
実家に息子(1歳10ヶ月)を預け、三重から車を走らせることおよそ1時間。
僕と妻は初めて一宮市にやってきた。
その頃は、名阪から名古屋高速を経由して一宮インターまで来ていた。
今は名阪の蟹江インターから乗り降りするようにしている。
一宮から蟹江インターまではずっと二車線道路で交通量もそれほどでもないので、急ぎでなければ狭い名古屋高速よりおすすめだ。
名古屋高速の料金は高いし。
さて、この時の目的は物件探し(賃貸住宅)と、一宮の雰囲気を知ることだ。
最悪、あまりにイメージと異なる街であれば、一宮を諦める覚悟までして来ていた。
もちろん下調べは十分にしたつもりだったが、こういうことは自分の目で見なければわからないものだ。
僕も妻もやや緊張していたと思う。
一宮の印象
これはある程度事前のイメージどおりといえるだろう。
幹線道路沿いが発展した、よくある地方都市といった感想を持ったように思う。
関東に住んで長かったため、見慣れぬチェーン店が目についた。
また、空間が広々としているというか、特に意味の無さそうなスペースが多いようにも感じた。
今ではすっかりこちらの生活に慣れ、東京に行くと閉塞感に息が詰まる思いである。
新しい街では全ての情報が視覚から入ってきて、ゴチャゴチャした印象になるのは致し方ない。
まだ一宮を掴みきれなかった僕たちだが、めぼしい物件を巡りながら雰囲気も掴んでいこうと考えていた。
僕は事前に10件程の転居先候補をピックアップしていた。
これを僕の車で回るというのが今回の計画だった。
不動産屋に行くのは、候補を実際に見てさらに絞り込んでからで良い。
最初から内見を頼むと、不動産屋は自分たちの契約させたい物件を推してくる。
土地勘の無い僕たちは、それに対して流される恐れがある。
そのため、先に二人でじっくり外観と立地を見て回ろうということだ。
最初の物件
実は僕には、これだ!と思う物件があった。
仮に「メゾンアンドゥ(UNDO)」と名付けよう。
この賃貸マンションは駅から徒歩10分程度、今までの住まいよりも少し広く、家賃は2万円ほど安い。
さらにエレベーター付で、スーパーやコンビニ、薬局もまずまずの近さだし、理想的に思えた。
「まずここを基準にして他の物件も見るよ」
ややドヤりつつ妻に告げる僕。
ナビを頼りにメゾンアンドゥにたどり着いた。
だがそこは、想像とは少し違う建物だった。
メゾンアンドゥ
その建物は、割と車通りの多い道路沿いにあった。
建物の前に駐車場があるのだが、道路→歩道→駐車場→マンションという並びで、写真でみた印象より狭苦しい。
息子のブロックを借りて表現するとこうなる。
斜向かいにコンビニがあり、駅に近く、立地は事前の調査どおりだ。
僕たちはメゾンアンドゥに近づいてみた。
隣にはすすけた廃ビルの様な謎の建物があり、異様な圧迫感があった。
建物の一階にはテナントとして美容室が入っている。
その他には、英字の看板のよく分からないテナントが入っているが、あれが何だったのかは未だに不明だ。
会員制のバーか何かだろうか。
建物に入ってみる。
すぐにエレベーターがあった。
小さいが、エレベーターの存在自体憧れだった僕にはそれほどのマイナスには感じない。
「ちょっと上に登ってみようか」
僕たちは最上階へ。
「あ、ここからだと隣の廃ビルが上から見えるんだね」
妻が言い、僕たちはなんとなく廃ビルの屋上に目をやる。
その時、視界を黒い影が横切った。
「う、うわあああぁぁぁぁぁぁあ!?」
そこに僕たちが見たものは、無数のカラスの群れ。
そう、廃ビルの屋上はカラスの巣だったのだ。
「カラスって、こういう所に巣を作るんだね…」
そう言った僕の笑顔は引きつっていた。
僕たちの移住に、暗雲が立ち込めはじめていた。
続く